二年間のジョグジャでの集大成として
王室の伝統的バティック・モチーフからネックレスをデザイン・製作してみました。
昔は王室だけで使われていたお守りのような剣のモチーフです。
それをチェーンにデザイン化して組み合わせました。
WAXで直接、大中小のモデルを作り、キャスト(鋳造)。
初めて経験する鞴(ふいご)式のロウ着け。
二種類のオイルと足ふみ式の鞴で火加減を調整するものです。
ジョグジャカルタでは バティックセンター(BBKB)の
ジュエリー課に所属していました。
お昼休みには、写真のIBU(イブ:夫人)のもとにお邪魔しては
ろうけつ染めの手描き(トゥリス)に魅了されていました。
日本には、「余白の美」がありますが、
インドネシアのバティックには「埋め尽くす美」があって、
1つ1つの柄に哲学的な意味があります。
イブは、鉛筆で下書きすることが稀で
殆どは、下描き無し、頭の中にある図柄を
直接描いていきます。時々はイブのアドリブでアレンジを
加えることはありますが、モチーフにはテーマがあるので
テーマから外れることはありません。
一枚は、数日から数か月かかることもあります。
以下は、プリントと呼ばれる「押し型」です。
この型作りも、手の込んだ作業です。
2009年5月はFGA(英国・宝石学)の試験を受ける為、スリランカに居ました。
2008年春JICAのシニア海外ボランティア期間が終わり、スリランカから日本に帰国、
翌年、友人の紹介でコロンボ内のお宅にステイしながら学校に通っていました。
この間に、26年も続いたスリランカの内戦が終わりました。
4年間のJICAボランティア期間に、平和でのどかな人々の暮らし、
その逆に激しくなってくるテロを身近に体験してきたので、
戦争終結の日にスリランカに居ることができた事、平和を喜びました。
この女の子はホームステイ先の娘さんで、いつも遊んで欲しい甘えん坊さんでした。
仏教徒にも日曜学校があって、女の子たちは、学校にお花を摘んで持って行くのですが、
そのおすそ分けを貰った時の写真です。
同じく2011年 、ジョグジャカルタ高校生にも数日のワークショップを行いました。
これは教え始めて2作品目のリングです。
彼は、驚くほど作るセンスが優れていました。
私はあまり手伝っていません。
WAXリングの上にジャワ語(この地域の伝統的な言語)で
何やら意味のある?言葉が描き込まれています。
こんな風に手彫りで模様や文字を描きいれられるのはWAXならではですが、
バランスよく文字を入れるのは簡単ではありません。
キャスト(鋳造)後にシルバーに変わります。
手始めに文字をデザインすることがよくありますが、
海外では日本語人気が高いので、ひらがなやカタカナを教えてほしいと言われます。
色々な ‘ あ’ ができます。
2011年、インドネシア・ジョグジャカルタの学生さんたちに
数日のワークショップを行いました。
これは、先のジョグジャカルタ・学生さんの初めての作品です。〈WAX:蝋〉
ジュエリーの学生さんではないので、ジュエリーのデザインを手描きするのは初めてです。
上の図のように簡単なドローイング(彼には失礼かもしれませんが。)からは、
想像のパターンが広がっていくものです。デザインが思いつかないという方は
いたずら描きのような絵だとしても、まず描いてみることをお勧めします。
こういう完成されていないスケッチを見ると 私は嬉しくて楽しくて
たまりません。 完成度の高いプロのデザイン画はなるべくそれに忠実に作りますが、
未熟で単純な線からは考えもしなかったような沢山のモチーフが浮かんできて、
どんなふうにも創っていけるからです。
例えば、写真・リング上の3つのモチーフ画は、*魚 *玉ねぎ *イチジクなどに見えませか?
どんなふうに見えても楽しく発展しそうです。